視界が欠ける?緑内障とは
緑内障は、視神経が何らかの原因で障害され、視野が狭くなったり、一部分が見えなくなったりといった「視野障害」を生じる病気です。
眼圧の上昇や遺伝、近視などが原因となります。
緑内障の症状
視野障害は、少しずつ進行します。また、通常、両眼同時に進行していくことはないため、ご自身では気づきにくいです。
一方、治療が遅れると、最悪の場合失明に至ります。まずは、以下の症状がないかチェックしてみましょう。また、症状の有無に関わらず、定期的に検査を受けることをおすすめします。
- 視力低下
- 目のかすみ・痛み・充血
- 生活の不便さ
- 視野の一部が見えにくい(視野欠損)
- 見える範囲が狭くなる(視野狭窄)
- 頭痛・吐き気(急性の緑内障の場合) など
緑内障の原因と種類
原因
神経が圧迫されて障害を受けることで緑内障を発症します。
神経圧迫の要因によって緑内障は以下のように分類されます。
種類
原発開放隅角緑内障
房水(目の中の水)の出口である線維柱帯やシュレム管が目詰まりを起こし、房水の排出が正しく行えなくなることで眼圧が上昇して発症する緑内障です。
緑内障と呼ばれるものは原発開放隅角緑内障であることが多いとされています。
正常眼圧緑内障
緑内障の中でも眼圧が正常な範囲のものを正常眼圧緑内障と言います。
日本人の緑内障の約7割を占めるとされています。
原発閉塞隅角緑内障
房水の出口である隅角が狭まり、房水の流れが滞ることで眼圧が上昇して発症する緑内障です。原発閉塞隅角緑内障には急性型と慢性型があります。
急性型では急激な眼圧の上昇により、激しい頭痛や眼痛、嘔吐などの症状が出現します。
原発先天緑内障
先天的に隅角発達に異常があり、房水の排出が上手く行えずに眼圧が上昇して発症します。進行が早いため、早期の手術が必要になります。
続発緑内障
ぶどう膜炎、角膜疾患、網膜剥離などの目の病気や外傷、糖尿病、ステロイド薬などの影響により、眼圧が上昇し発症する緑内障です。
緑内障は気づかないうちに
進行しています
通常、緑内障の症状の進行はとても緩やかなため、異変に気付いたときには緑内障がかなり進行している可能性があります。そのため、早期発見には定期的な検査が重要です。
緑内障の検査
緑内障の検査では、眼圧検査や眼底検査、隅角検査・視野検査などを行います。
視力検査
視力検査は眼科の疾患すべてで適用となる基本的な検査です。
しかし、ほとんどの緑内障では、視力は最後まで保たれることが多く、緑内障の程度や進行を視力からは判断できません。
眼圧検査
眼圧検査は、緑内障の診断と管理に重要な役割を果たしています。
眼圧は、角膜の厚みや剛性などの目の構造に影響されやすいため、数値だけで判定できるものではありません。
また、血圧と同じように1日のうちでも変動がありますし、気温や運動などにも影響されます。
眼底検査
目に光を当てて眼底(目の奥)の状態を調べ、視神経の形に異常がないかを確認します。
隅角検査
隅角検査は、点眼麻酔後、専用の特殊なレンズを目に当てて観察します。
隅角の広さや異常の有無を調べ、緑内障の種類や病状の判断を行います。
視野検査
視野検査では、ある一点を見た状態でどの範囲まで見えるのかを確認します。
視野障害の程度や、視野の欠け具合の有無から緑内障の進行具合を判定します。
緑内障の治療方法
緑内障によって障害された視野は治療をしても完治させるのは困難で元に戻すことはできません。
治療の目的はあくまでも現在の状態を悪化させないことです。
眼圧下降が緑内障唯一の治療法となり、点眼薬による薬物療法やレーザー、手術療法があります。
点眼治療
点眼治療は主に原発開放隅角緑内障に対して行われます。現れている症状や眼圧などに応じて、それぞれに合った点眼薬を選択し、組み合わせます。
レーザー治療
選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)
点眼治療では効果が十分に得られなかった場合や点眼薬による副作用が大きい場合などに行われます。目詰まりしている線維柱帯にレーザーを照射し、房水の流れを改善します。
レーザーは線維柱帯の色素細胞にのみ反応するため、周囲の組織にはダメージをほとんど与えず、繰り返し治療することが可能です。
選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)の対象となる方
- 正常眼圧緑内障を含む原発開放隅角緑内障の方
- 点眼治療では効果が十分に得られなかった方
- 点眼薬による副作用が大きい方
- 落屑緑内障の方
- 忙しさのあまり点眼をよく忘れてしまう方
選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)の効果
- SLTレーザー治療により、約7割の方が眼圧を下げることができています
- 眼圧下降の効果があった方のうち、約7割の方が1年後も効果が持続しています
- 治療時間は10分程度です
緑内障手術
緑内障の手術方法には
- 線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)
- 線維柱帯切開術(トラベクロトミー)
- 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術
といった手術方法があります。
当院では手術を行っておりませんが、手術が必要な場合は関連のクリニックや基幹病院をご紹介させていただきます。